ドイツの魔女展は1979年にハンブルクの魔女研究所で初めて開かれました。
ドイツの魔女狩りは18世紀後半に終息しますが、20世紀になってもまだ魔女のレッテルを貼られて泣く女性たちがいました。元教師だったヨーハン・クルーゼ(1889~1983)はこのような魔女迷信を撲滅するために一生を捧げ、魔女の展覧会を開いたのです。
この展覧会は大変な評判を呼び、そのとき作られたパンフレットはいまでも高い評価をうけています。以後、ドイツ各地で次々と魔女展が開かれるようになりました。
ドイツ魔女研究所はハンブルク民族博物館(ハンブルク大学そば)内にあります。クルーゼが集めた膨大な資料が保管されています。また、ショールームには、魔女に関する資料、魔女の薬、護符など魔女グッズも展示されています。
研究員は、クルーゼの意志を引き継いで、世界各地の魔女の研究に力を注いでいます。魔女についての質問や相談があれば、毎木曜日の午後4時から7時まで研究員が応じてくれます。予約が必要。私も何度か訪れたことがありますが、大変親切に応対してもらいました。
ところがこの魔女研究所が閉鎖されてしまいました。お世話になった研究員のココットさんに問い合わせたところ、人員削減のあおりを食ってのことだそうです。彼女はいつか必ず再開させると言ってました。
過去の負の歴史を隠さずに他国の人々に見せるのがドイツ。それはドイツの良心であると同時に、9カ国に囲まれたドイツが生き延びる道でもある。ハンブルクの魔女研究所がなくなってしまうのは、経済的な面が大きかったのかもしれないが、同時に魔女迫害は今ではもう歴史的に清算されたと考えられたからではないか。魔女は今や新しい魅力あるキャラクターとなって現代に受け入れられている。これをどう考えるか悩ましいところである。
魔女おっかけの私としては、日本でも魔女展が開かれればいいなと願っていましたが、1999年、主催を引き受けてくださるところがあり、幸運にも魔女展が実現しました。おそらく日本で初めての魔女展だったと思います。その後、2001年にもパート2を開くことができました。これからも全国各地をまわりたいと思っています。主催を引きうけてくださる方、ぜひご連絡ください。
そう念じて、14年経ち、思わぬ形で大きな魔女展の監修を依頼されることになりました。東映・中日新聞主催の「魔女の秘密展」(全国7か所ツアー)です。大変貴重な経験でした。
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主催 石橋町/(財)グリムの里いしばし
企画監修 日本グリム協会/西村佑子/天沼春樹/橋本孝
日時 1999年8月1日~30日
場所 栃木県石橋町グリムの館
詳しいパンフレットはグリムの館にあります。一部200円
(問い合わせ)Tel 0285-52-1180(グリムの館)
展示:写真、図版パネルによるさまざまな魔女を紹介
催し:
講演「アロマで森の香りを」豊泉真知子
講演「グリム童話の魔女たち」西村佑子
ドイツ歌曲「魔王、ヘンゼルとグレーテル他」佐藤哲也他
子どものための魔女学校(定員15名)飯島都陽子
魔女のお面作り(定員15名)伊藤亘
魔女の人形作り(定員15名)嶋津光延
特別展示:
魔女原画 あずみ椋(漫画家) 出久根育(画家) 伊藤亘(ペーパーレリーフ作家)
拷問のシンボル「鉄の処女」明治大学刑事博物館所蔵
本物のお菓子の家(国分りか)
テディベアの魔女(おおはたゆうこ)
主催 石橋町/(財)グリムの里いしばし
企画監修 日本グリム協会/西村佑子/橋本孝/竹内識晃
日時 2001年8月4日~26日
場所 栃木県石橋町グリムの館
(問い合わせ)Tel 0285-52-1180(グリムの館)